絶対に外せない!北野武監督作品初心者におすすめの映画10選

70歳を過ぎてなおバラエティや映画監督として精力的に活動を続けているビートたけしこと北野武。海外でも数多くのファンを持つ彼ですが意外とまだ見たことのない人も多いのでは?
そんな彼の監督作品全18作の中から、映画初心者の方にもおすすめの映画10作をご紹介したいと思います。

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アイキャッチ画像出典:bunshun.jp

世界中にファンを持つ映画監督、北野武

出典:twinavi.jp

1947年、東京都出身。映画において監督や脚本を担当したときは北野武を、俳優として出演するときはビートたけし名義を使用しています。本業のお笑い芸人としての印象が強いですが、彼自身明治大学中退(後に特別卒業)、実の兄は大学教授という、非常に教養のある人物です。
映画監督としてその才能を開花させた彼は、日本の土俗的な側面をときにバイオレンス一色で、ときに切なく描き、アメリカ人映画監督クエンティン・タランティーノをはじめ数多くの人物に影響を与えています。1989年以降コンスタントに作り続ける作品の中から、普段映画を見ない方にもおすすめの有名10作品をご紹介します。

1.アウトレイジ(2010年 109分)

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あらすじ・見どころ

関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)へ、傘下にある池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈します。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せます。こうしてお互い邪魔な存在を消そうとして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が始まりました。

全員悪人!北野武が最も得意とするやくざ映画

北野映画といえばバイオレンスです。彼の作品の多くにはヤクザや暴力団が出てきて過激な暴力が描かれますが、アウトレイジは暴力を描きながらもエンタメ性が高く初心者の方にもおすすめの作品となります。また、普段は優しい役の多い椎名桔平や加瀬亮などがヤクザを演じているのも見どころです。本心を見せず腹を探りあったり、指詰めろなんて台詞を聞くと、まさに日本の任侠映画だなと感じさせられます。

2.アウトレイジ ビヨンド(2012年 112分)

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あらすじ・見どころ

前作から5年後、暴力団・山王会は新しい会長のもと勢力を拡大していました。関東の頂点となった山王会はついに、関西の首領・花菱会にまで手を出し始めます。表向きは友好関係を保っていますが、いつ争いが起こってもおかしくない状況。前作以上の腹の探り合い、誰が味方で誰が敵か、果たして味方は存在するのか、ハラハラしっぱなしの2時間です!

前作以上にパワーアップしたヤクザたち!

この作品は世界三大映画祭のひとつであるヴェネツィア国際映画祭 の金獅子賞にノミネートされました。
今作のキャッチコピーは「全員悪人、完結。」ですが、完結しません(笑)。花菱会のメンバーとして登場する西田敏行、塩見三省が関西弁で捲し立てる場面が多く出てくるのですが、こちらのお二方も優しい印象があるのでとても新鮮です。刑事・片岡役の小日向文世も暴力団メンバーとはまた違った悪人としての顏を前作以上に覗かせます。

3.アウトレイジ 最終章(2017年 104分)

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あらすじ・見どころ

関東・山王会と関西・花菱会の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)のところにいました。大友に恨みのある花菱会は、ある事件をきっかけに張グループとも一触即発状態に。しかし代替わりをした花菱会の内部は、誰もが花菱会会長の首を狙いボロボロになっていました。果たして大友は無事生き残れるのか、壮絶な権力闘争がここに完結します!

ついに完結!男たちの戦いの果てにあるものは

国際的な問題にまで発展した裏社会での抗争。果たしてたけし演じる大友は生き残れるのか。
これまで名だたる俳優が出て来ましたが、今作ではたけし映画の常連である大杉漣がついに出演します。同じく常連である寺島進が出演されてないのが惜しいです。彼なら必ずヤクザを演じきってくれると思うんですけどね。それでも前作に引き続き、西田敏行や松重豊など豪華俳優の共演は見逃せません!

4.座頭市(2003年 115分)

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あらすじ・見どころ

金髪頭に盲目の旅人・市。しかし彼こそ居合いの達人・座頭市でした。とある町にて旅芸者の姉妹おきぬとおせいをはじめ様々な人に出会います。この町はヤクザの銀蔵一家と金持ちの商人・扇屋が裏で繋がって人々から金を巻き上げており、人々はみな悩みを抱えています。弱気を守り悪に立ち向かう、新たなヒーロー像がここに誕生です。

数多く作られた座頭市のなかで一番有名な物語

日本国内の観客動員数は200万人と北野映画最大のヒット作として、この作品でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)をはじめ、国内外の数多くの映画賞を受賞しています。私がはじめて見た北野作品なのですが、とにかくかっこいいの一言に限ります。主演のビートたけしが金髪であったり、人々がタップダンスを踊り始めたり、今までにはない型破りな時代劇となっています。ヤクザ映画にて数多くのアクションを描いてきましたが、刀を使った演出はこれが初めてで勝新太郎演じる座頭市への敬服が感じられます。

5.Dolls (2002年 113分)

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あらすじ・見どころ

佐和子(菅野美穂)と松本(西島秀俊)は恋人同士でしたが、松本は親が決めた社長令嬢と結婚します。それを知った佐和子は次第に心が病んでいき、ついには自殺未遂をしてしまいます。知らせを受けた松本は全てを捨てて佐和子のそばにいることを決意します。彼らの他に、迫り来る死期を感じ取った老境のヤクザと、彼をひたすら待ち続けるひとりの女。事故で人気絶頂から転落したアイドルと、それでも彼女を慕い続ける青年。三組の孤独な男女が織りなす切ないラブストーリーです。

これまで一番、最も暴力的な映画

様々な映画を撮り続けてきたたけしですが、この映画について「これまで一番、最も暴力的な映画である」と発言しています。これは殴る蹴るといった暴力ではなく、希望を見出した瞬間、死に見舞われる人生の無情さに対しての発言と思われます。主演である西島秀俊と菅野美穂の他にも、アイドル役に深田恭子を起用するなど、たけし映画ではめずらしいキャスティングになっています。また数多くのたけし作品で音楽を担当してきた久石譲はこちらの作品以降離れています。

6.菊次郎の夏(1999年 121分)

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あらすじ・見どころ

小学生の正男(関口雄介)は明日から夏休みです。友達は家族旅行に行き、一緒に住むおばあちゃん(吉行和子)もパートで忙しいため、誰も遊び相手がいません。そこで、どこか遠くで働く母親を、写真だけを頼りに探しに行こうとします。それを知った近所のおばさん(岸本加世子)は心配して、旦那である菊次郎(ビートたけし)に母親の元まで送り届けるよう言います。
勝手気ままで大人に成りきれていない菊次郎と9才の少年正男による、様々な人と事件に出会いながら現実の厳しさと人々の優しさに触れていく旅がはじまります。

誰もが聞いたことのある久石譲音楽

親子でもなんでもない少年と男が過ごすひと夏は、観ているこちらまで懐かしい気持ちになります。はじめは自由人の菊次郎に振り回されっぱなしの正男ですが、やはり9才の子ども。自分でもうまく表現できない寂しさに、菊次郎をはじめ旅で出会う大人たちは優しく接してくれます。子役の走るシーンがどうしても演技っぽくなってしまったため、お金を持たせてアイスを買ってくるように伝え、それを隠し撮りして実際に起用したという有名なエピソードもあります。メインテーマ曲「Summer」はその後、たけしが出演したトヨタ・カローラのCMにも使われており、映画を見たことがなくても、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

7.HANA-BI(1998年 103分)

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あらすじ・見どころ

不治の病に冒された妻を見舞うため、張込みの現場を離れていた西刑事(ビートたけし)に同僚の掘部(大杉漣)が撃たれたという知らせが届き、追い詰めた犯人との銃撃戦で、今度は部下の田中(芦川誠)が命を落としてしまいます。次々と大切なものを奪われ、心をさいなまれていく西。下半身不随となり退職を余儀なくされた堀部は絵を描き始め、西は余命わずかな妻と旅に出ます。

夫婦のカタチを描いた作品

この作品で日本映画として実に40年ぶりにヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞し、世界のキタノとなりました。一人の孤独な刑事の人生を描いたこの作品は、世界各国で高い評価を受け、日本を代表する名監督黒澤明も、「黒澤明の選ぶ百本の映画」に選んでいます。また作中に同僚の堀部が描いたとして登場する絵は、たけし自らが描いたものであり、彼の芸術的才能が垣間見られます。

8.キッズ・リターン(1996年 108分)

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あらすじ・見どころ

落ちこぼれの同級生シンジ(安藤政信)とマサル(金子賢)は、高校生活が終わるとシンジはボクシング、マサルはヤクザの道を選びます。別々の世界に飛び込み、頂点を目指すふたりでしたが、理想と現実のギャップにぶつかり挫折します。時は過ぎてシンジはジムも辞めて、何となくアルバイトをこなすうだつの上がらない生活。一方で刑務所から出所したばかりのマサルもまた、ヤクザに戻るしかありませんでした。

たけし、事故後初の監督作品!

北野武バイク事故後の監督復帰作品であり、死を描いたそれまでの作品とは違い力強く生きることが描かれた作品。本人は否定をしていますが、死に直面したけしの中での感覚が変わったと言われています。
誰しも若い頃に、根拠もない自信を感じたことがあるのではないでしょうか。また、大人になり10代20代と接してみると、根拠のない自信を持っていたり、なんだか実現できそうなエネルギーを彼らから感じることがあると思います。この作品ではふたりの少年を中心にそのまわりの人物も丁寧に描かれ、皆が懸命に生きている姿が描かれます。

9.ソナチネ(1993年 93分)

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あらすじ・見どころ

北嶋組幹部の村川(ビートたけし)は、ヤクザとしての人生に嫌気がさしています。そんな男が、親分の依頼で中松組の助っ人として、沖縄に向かいます。これは事実上の左遷であり、面倒ごとを任された村川はこれまで以上にやるせなくなってしまいます。連れの子分も殺され、生きることの無情さを感じた村川は最後の戦いに向かいます。

正当な評価をされていない名作!

たけしの作品の中でいちばん純粋にバイオレンスが描かれた作品です。
映画が公開された1993年といえばバブル経済も終わりが見えてきて社会全体に陰りが見えてきています。終始、死を感じられる鬱蒼としたこの作品は、たけし自身も公開1週間で打ち切られたと自虐を言うほど国内では人気が出ませんでしたが、海外では欧州を中心に高く評価され、今なお世界中で新たなファンを獲得しています。海外の人々はたけしの自然かつ恐ろしく狂った演技に、本当のヤクザだと思ったとか。説明を省いた少ない台詞、キタノブルーこと青を基調とした画面構成、ただただ歩くシーン、顔のアップなどたけし映画の特徴が色濃く出ており、まさに彼の作品の真骨頂です。

10.その男、凶暴につき(1989年 103分)

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あらすじ・見どころ

その男、我妻諒介(ビートたけし)39歳。職業、刑事。刑事らしからぬ言動の彼は署内でも異端視されています。ある日、麻薬売人柄本(遠藤憲一)の惨殺死体が発見されます。捜査を進めるうちに、青年実業家・仁藤(岸部一徳)と我妻の親友であり防犯課係長でもある岩城(平泉成)にたどりつきました。腐りきっている警察、そして麻薬犯罪組織の首領・仁藤とその傘下にある殺人鬼・清弘(白竜)への狂気に対して、我妻の凶暴さはもう誰も止めることができません。

たけし初監督作品!

スケジュールの関係により本来予定していた深作欣二監督が降板し、北野武に監督の話が舞い込んできます。彼は脚本の書き直しを条件に引き受け作り上げました。フライデー襲撃事件(1986年たけし軍団ら11名を率いて写真週刊誌フライデー編集部を襲撃し、たけしは後に半年以上の芸能活動自粛となっている)後とはいえ、まだまだお笑い芸人としての印象が強い当時、コメディ要素一切無しの作品に評論家たちは驚きました。主役を演じる当時42歳のたけしが恐ろしく、リアルな狂気が醸し出されています。彼の作品は台詞が少ないことで有名ですが、一作目にしてすでに表れており、台詞の少なさが突如はじまる過激な暴力をより際立たせます。また構図ひとつをとっても絵画のように美しく芸術性の高さも感じられる作品です。

終わりに

映画初心者の方にもぜひ見て欲しい10作品を紹介しました。
ここでは紹介しきれなかった名作もまだまだあるので、興味のある方はぜひ全作品に挑戦してみてください。
ちなみに北野武の「人は大体集中できるのが2時間まで」という持論から、彼の作品は全て120分以下、短いものでは100分以下となっています。平日の夜でもさらりと観ることができるので、仕事終わりにゆっくり観ることをおすすめします。

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