【革靴の第三勢力】パリのエスプリ薫るJ.M.WESTONの魅力
革靴といえばイギリスとイタリアが有名ですが、実はフランスも隠れた革靴大国です。そんなフランスを代表するブランドが「J.M.WESTON」です。今回はそんなJ.M.westonの魅力に迫りたいと思います。
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J.M.WESTONってどんなブランド?
J.M.WESTONはフランスを代表するシューメーカーです。パリジャンの足元にはいつもJ.M. WESTONがあったといっても過言ではないほど、フランスでは国民的なシューメーカーです。まずその歴史をおさらいしたいと思います。
J.M.WESTON誕生
J.M.WESTONのはじまりは1891年に遡ります。エドワール・ブランシャール氏が南フランスのリモージュで革靴の工場を開いたことが、J.M.WESTONのブランドヒストリーのはじまりです。 当時のブランド名は「ブランシャール」でした。
フランスでも評判の靴工場となり、1927年のパリに出店することになります。この際にブランド名を「J.M.WESTON」と改めました。エドワール氏の息子、ユージェーヌ・ブランシャール氏はグッドイヤー・ウェルテッド製法を学ぶため渡米します。その際に靴づくりを学んだのがボストン近郊のウエストンという街であったため「J.M.WESTON」というブランド名になったと言われています。
若者とJ.M.WESTON
1960年代には、いわゆる「おじさん靴」的な位置付けになってしまったJ.M.WESTONに一つの転機が訪れます。シャンゼリゼ大通りにたむろする若者たちがこぞってJ.M.WESTONのローファーを履いたのです。素足で父親のローファーを履き、それにリーバイス501に合わせるというスタイルは、若者たちの秩序への反抗を表すものでした。これによってJ.M.WESTONは世代を超えて愛される国民的なシューメーカーに成長します。
伝統と進化
そんなフランスの革靴の伝統を作り上げてきたJ.M.WESTON。しかし伝統を保持するだけではありません。2001年にはレディースシューデザイナーのミッシェル・ペリーをアートディレクターに迎え、さらなる進化を遂げます。モダンな美しさと伝統の職人技が融合したJ.M.WESTONの革靴は世界でも高い人気を得ています。
J.M.WESTONの魅力とは?
そんなフランスの国民的シューメーカーJ.M.WESTON。その魅力はどこにあるのでしょうか。
J.M.WESTONの魅力1|素材のよさ
J.M.WESTONの魅力は何と言ってもその素材の良さです。軽くシュークリームをつけて磨くだけでツヤツヤに輝くキメの細かいキップ(子牛の革)は非常に美しいです。その素材の良さは、世界最高峰のタンナーである「デュプイ社」を傘下に収めていたからこそ実現できたものです。ただし、2016年にJ.M.WESTONはデュプイ社をエルメスに売却していますので、2017年以降に以前のようなグレードの革が使用できるかは不明です。
J.M.WESTONの魅力2|サイズヴァリエーションの多さ
J.M.WESTONでは4mmピッチでサイズ展開をしています(通常は5mmピッチでサイズ展開)。さらにA~Fまで6つのワイズ(横幅)があり、既成靴でありながら自分の足にぴったりとフィットするサイズを選ぶことができるのも大きな魅力です。
J.M.WESTONの魅力3|職人技
J.M.WESTONを支えるのは何と言っても熟練した職人の技術です。例えばハントダービーというモデルは、そのほとんどが職人の手縫いによって作られます。そんな職人技もまた大きな魅力と言えます。
J.M.WESTONの代表的モデル5選
180「シグネチャーローファー」
「究極の普遍」とも評され、ローファーの完成系として世界中で愛される名作180。どんなスタイルにでもフィットする万能選手なので、一足はシュークロークに入れておきたいです。
641「ゴルフ」
ジャーナリストシューズの別名を持つゴルフ。リッジウェイソールという耐久性が高いゴム底、オイル分を多く含んだ雨に強いレザーを用いた実用性の高さとエレガントさが融合した靴です。
677「ハントダービー」
J.M.WESTONのフラッグシップモデル、ハントダービー。トゥ部分のスキンステッチ、ノルウィージャン・ウェルテッド製法など、随所に職人技の光る逸品です。
590「トリプルソールフルブローグ」
トリプルソールをまとい、耐久性の高い実用靴でありながら、美しいパーフォレーション
(穴飾り)がエレガンスさを漂わせるフルブローグです。
705「チェルシーブーツ」
贅沢にも1枚革で作られるサイドゴアブーツ。その特徴はスネ部分から甲にかけての美しいクリースラインです。スポーティーなサイドゴアブーツですが、エレガンスさが漂う稀有なブーツです。
いわゆる「ウエストンサイズ」とは?
最高の履き心地のために豊富なサイズを用意しているJ.M.WESTON。そのサイズへのこだわりは独特のフィッティングにも現れています。グッドイヤー・ウェルテッド製法はその構造上、コルクが沈み込み、サイズが変化します。したがって、J.M.WESTONでは購入時にはギチギチと足を締め付けるほどきついサイズを勧められます。
このウエストン流のタイトフィッティングは、完璧なフィッティングを得るための修行期間と言えます。だいたい15回〜20回ほど(だいたい3ヶ月ほど)履くと馴染んでくるので、がんばって乗り切りましょう。
パリのエスプリをあなたの足に
その美しさで世界中の紳士を魅了するJ.M.WESTON。その美しさの裏にはエスプリ、つまりフランスの伝統的な精神があります。そういった文化的背景を身につけることができる、それこそがJ.M.WESTONの魅力なのかもしれません。そんな美しい靴、ぜひ一度履いてみて下さい。
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