最新作「インフェルノ」で巡る世界遺産の街・フィレンツェ
「ダヴィンチ・コード」で一躍有名になったダン・ブラウンの最新作「インフェルノ」。今回の舞台はイタリアのフィレンツェ。トム・ハンクス演じるラングドン博士が駆け抜けるシーンを通してフィレンツェの街を紹介します。
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ラングドン博士が駆け抜ける世界遺産の数々
話題になった「ダヴィンチ・コード」公開から10年。トム・ハンクス演じるロバート・ラングドン博士の新たなミッションは世界の人口を半分にしてしまうウィルスの拡散を阻止すること。約700年前に書かれたダンテの「神曲」に隠された秘密を、前作同様ラングドン博士が豊富な美術の知識を使って解いていきます。今回の舞台はフィレンツェ。出てくるシーンは実際に街で撮影していました。世界遺産に登録されているこの街に住む筆者が「インフェルノ」に出てくる名所を紹介します。
レオナルドも活躍したルネサンス発祥の街フィレンツェ
出典:pixabay.com
イタリア旅行で人気の街はローマ、ヴェネツィア、ミラノ、そしてフィレンツェです。1861年まで各都市が独立して自治権を持っていたイタリアでは街によって雰囲気が異なります。フィレンツェの特徴は15世紀に生まれたルネサンス美術がふんだんにあること。レオナルドもミケランジェロもラファエロもみんなこの街で活躍しました。フィレンツェは15世紀の美術の中心地だったのです。それから500年経った今も当時の街並みのまま残っているのがこの街の魅力です。
「チェルカ・トローヴァ」の言葉がキーワードのヴェッキオ宮殿
フィレンツェの中心地にあるのがこのヴェッキオ宮殿です。94mあるこの建物の建設が始まったのは1299年、日本では鎌倉時代です。その後1560年代に画家のヴァザーリが壁画を作成します。ラングドン博士が謎を解いていく中で「チェルカ・トローヴァ(尋ねて見出せ)」という言葉を探すシーンがあります。それが書かれているのがこの壁画です。そしてヴェッキオ宮殿のもう一つの見所は秘密の扉。ラングドン博士とヒロインのシエナはこの秘密の扉から脱出します。現役で市役所として活躍するヴェッキオ宮殿は日本人も結婚式を挙げることができる観光名所です。
ミケランジェロもレオナルドも 世界の名作が揃うウフィツィ美術館
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映画の中でラングドン博士が廊下を走るシーンが撮影されたのがここ、世界の名画が揃うウフィツィ美術館です。1580年に建てられたこの美術館にはイタリアのルネサンスの名作を見に、毎日世界中から観光客が訪れます。レオナルド・ダヴィンチの初期の作品、ミケランジェロの唯一のパネル画、そして世界一のボッティチェリのコレクションとこの美術館の魅力は尽きません。ラングドン博士になった気分で名画の謎を解いてみるのも楽しそうです。
どうやって建てたのか600年経った今でも謎 直径40m超の巨大なドーム
防犯ビデオにダンテのデスマスクを盗む自分の姿を見て愕然とするラングドン博士。そのデスマスクが見つかるのが洗礼堂です。洗礼堂の前にそびえ立つのがフィレンツェの代名詞とも言える赤い屋根のドーム。これが建てられたのは今から600年近く前ですが、現在でも世界で3番目に大きなドームです。しかし、これを建てた建築家のブルネレスキは自分の技術を誰にも知られたくなかったので、ドームのモデルをポテトで作り、その後スープにして食べてしまったとか。今でもどうやってこのドームを作ったのかの研究がされているそうです。
高級ジュエリーショップが並ぶポンテ・ヴェッキオ
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ポンテ・ヴェッキオとはイタリア語で「古い橋」を意味します。名前の通りこの橋ができたのは1345年。フィレンツェ中心部には合計5箇所に橋が架かっていますが、第二次世界大戦中にこの橋以外の全てが爆破されてしまいました。中世のままの姿を唯一残しているのがこの橋。ラングドン博士とシエナが通るのはこの橋の上にある「ヴァザーリの回廊」と呼ばれる部分。ここはトスカーナ大公専用の廊下でした。一国の主人が通る橋にふさわしく、現在でもたくさんのジュエリーショップが並んでいます。
街自体が世界遺産 映画を見ても見なくても十分に楽しめる街
ラングドン博士が通った道筋をたどりながらフィレンツェの街を紹介しました。実はフィレンツェ、街自体が世界遺産に登録されているのです。街のどこを切り取っても絵になります。映画を見てラングドン博士のように謎を解いていくのもよし、レオナルドやミケランジェロが築き上げたルネサンスの精神を感じるのもよし、この街の楽しみ方は様々です。美術に食にイタリアを満喫しに来てください。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。