センチメンタルな秋に泣けるおすすめイタリア映画5選
ローマ時代の昔からドラマ鑑賞をしてきたイタリア人。他の追随を許さない独特の美学とイタリアならではの愛情表現をたっぷり堪能できる映画を5つピックアップしました。
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イタリア映画の魅力
出典:pixabay.com
映画といえばハリウッドが有名ですが、ローマ時代から劇を鑑賞し続けているイタリアもチネチッタという映画撮影場があるほど映画に力を入れています。ヴェネチアからローマまで、街も田舎もどこを切り取っても映画シーンに使える景色が広がり、ロケ地には事欠きません。イタリア映画の魅力はなんといって古い歴史と哲学に基づいた深みと、アモーレの国と言われるだけある人間に対しての愛にあるといえます。ただ単にハッピーエンドなわけでもなく、善悪をきっちり分けて悪人を退治するのではなく、生きて行く上での人間の優しさや切なさを味わえるのです。そんな魅力的なイタリア映画の中で泣ける映画を5つ選んでみました。
飾らない愛に泣ける作品 フェデリコ・フェリーニの「道」
1956年のオスカー外国語映画最優秀作品を受賞したのがこの作品です。旅芸人のザンパノは彼のアシスタントとしてジェルソミーナという少女を雇います。少し知能が弱いジェルソミーナは最初は旅芸人の生活を楽しんでいたのですが、ザンパノの態度に嫌気がさして別の大道芸人の元に逃げてしまいます。怒ったザンパノはジェルソミーナを連れ戻し、その後大道芸人を撲殺してしまいます。その様子を見て放心状態になったジェルソミーナ。アシスタントとして使えない彼女をザンパノは放置して去っていくのですが・・・。粗野な男が手放してから愛に気づく姿に涙を誘われます。
どんな大変な状況でも愛と笑いで乗り切る「ライフ・イズ・ビューティフル」
舞台は第二次世界大戦のイタリア。トスカーナの田舎町に住む陽気なグイドは小学校の教師のドーラに一目惚れ。「お姫さま」を手に入れるために猛アタックをして駆け落ち同然で結婚します。二人の間には息子も生まれて幸せな生活を送っていましたが、イタリアはドイツの占領下に入り、ユダヤ人であるグイドと息子は強制収容所に送られてしまいます。状況がわからない息子にグイドは「これはゲーム。勝ったチームは戦車がもらえるんだ」と説明します。戦争の悲惨さの中でも持ち前の陽気さで乗り切るグイド。父の息子への愛を感じるラストシーンは涙なしには見られません。
夢を追いかける少年とそれを見守る老人の友情を描いた「ニュー・シネマ・パラダイス」
シチリアの田舎町に住む少年トト。小さな街の唯一の娯楽は映画です。その映画に魅せられたトト少年は映写室に入っては映画技師のアルフレードにつまみ出される毎日。そんな日々を過ごすうちに父親のいないトト少年と子供のいないアルフレードの間に親子とも言える友情が芽生えはじめます。引火性のあった当時のフィルムから火事になりアルフレードは視力を失い、青年になっていたトトが映画技師の仕事を引き継ぎます。映画の魅力にはまり試作を取り始めるトト。そんなトトにアルフレードは「村からでろ、そして帰ってくるな」と厳しい一言で背中を押します。大人になったトトが数十年ぶりに村に帰りアルフレードの残したフィルムを見るシーンは圧巻です。
初恋の人は年上の人妻だった・・・戦争に翻弄される美女「マレーナ」
第二次世界大戦中のイタリア。戦争から帰ってこない夫を待ち続けるマレーナの元には彼女の美しさに惹かれる男達が毎日のように訪れます。夫を愛する彼女の意思に反して時代の流れに飲み込まれていくマレーナ。戦争が終わりその美しさに嫉妬する女達に暴行を受ける彼女は別の街へと移っていきます。それをずっと見守っていたのが彼女に密かに恋をしていた少年でした。戦死したと思われていた彼女の夫が街に帰ってきたときに少年はこっそりと彼女の行き先と彼女が夫を愛し続けてきたことを伝えます。イタリアのダイヤモンドと呼ばれるモニカ・ベルッチの美しさが際立つ作品です。
船で生まれて一生船から降りなかった天才ピアニスト「海の上のピアニスト」
20世紀が始まったばかりの1900年。大西洋を往復する客船の中で生まれたばかりの赤ちゃんが置き去りにされていました。黒人機関士のダニーは息子のように大事にそしてタフに育てますが、事故で亡くなってしまいます。「1900」と名付けられた少年はピアニストとしての才能を発揮し、噂を聞いた当時最高のピアニストも打ち負かします。そんな彼の演奏を録音しようとレコード会社がやってくるのですが、まさに演奏しているその瞬間に彼は恋に落ちます。その女性を追って初めて船を降りようとする1900。船しか知らない男のセンチメンタリティーが溢れる作品です。
様々な愛の形を感じたいイタリア映画
泣けるイタリア映画5作を紹介しました。どの映画にも共通するのが「愛」が描かれているところ。ストレートな愛もあれば変化球の愛もあり、人間が人を愛する上で感じる喜びも悲しみも全て受け入れられるのがイタリアの魅力だと思います。秋のセンチメンタルな夜にぜひ色々な形の愛に浸ってみてください。
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この記事のライター
イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアからグルメ、ワイン、そしてイタリア男のカッコイイ生き様をお届けします。大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。