リビングでの「すごし方」を涼しくする改良作戦
外から帰ってきたら、どんなに暑くてもリビングでソファに座りゆっくりしたいものです。しかし、リビングは空間が大きく冷房をつけてもなかなか気温が下がらないのが悩ましいところです。そこで今回はリビングでの「すごし方」を涼しくする改良作戦をご紹介します。
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空気の流れを意識
涼しいお部屋に改造したいと考える場合、空気の流れと建材の断熱性や遮熱性を意識することが有効です。ただし、そのようにしてお部屋の涼しい「空間づくり」がうまくいったとしても、日々の生活の中で「涼しい」と実感でき、居心地のいいお部屋にするには、もう一工夫が必要です。それは、お部屋の中で、ふだんどのようにすごすことになるのか、そのライフスタイルに注目した改良です。ソファに座ってテレビをみたり、スツールでパソコンをしたり、あるいは寝転がったり団らんしたり、そうした「すごし方」の改良点をさぐります。
夏は低い位置ですごすのがポイント
現代の日本では、昔ながらの和風建築は減少し、若い世代の間では洋風の住居が一般的になっています。けれども、実は日本の伝統的な家屋は、夏を涼しくすごくための様々な知恵が継承されてきたものですから、和風のライフスタイルは大いに参考になるのです。フロアの上でテーブルを中心としたスタイルではなく、畳の上で立ち座りをするという「低い位置」でのスタイルもそのひとつです。お部屋の中の空気は温かいほど上昇するため、低い場所のほうが涼しいからです。もともと和風建築だったりステップフロアを特徴とする家屋であれば、それを活かさない手はありません。
ひんやりした畳に癒されたい
現代はフロア空間のリビングが多くなっていますが、一般的には畳での生活のほうが涼しくすごしやすいのです。熱い夏でも、イグサは熱がこもることなくひんやりしているからです。もし畳敷きの和風のお部屋なら、あえてフロアにリフォームするのではなく、畳での生活を活かしていくことも検討に値するでしょう。もっとも、畳はフロアとくらべてお手入れが大変という面もあります。したがって、全面ではなく一部のみ畳敷きにしたり、ステップフロアで和風フロアを残すという方法もあります。また、「置き畳」や「ユニット畳」など、収納が簡単な畳タイプのフロアマットなら、必要な部分だけ簡単に和空間にできて便利です。
自然素材の夏用ラグマットなら収納も楽チン
置き畳は、しっかりした厚みがあるので寝そべって心地よいのですが、悩ましいのは収納に場所をとってしまう点。そこで、夏用の敷物としておすすめしたいのは、竹や藤などの天然素材でできたアジアンテイストのラグマットです。一般的に入手しやすくポピュラーなのが、竹製と藤製、そしてイグサ製のラグマットです。竹製は和室にも洋室にも合うオリエンタルな雰囲気で人気があり、価格も比較的安価なのが特徴です。藤製は少し高めの製品になりますが、丈夫で軽く、長く使って品格が出てきます。イグサ製は、竹や藤では固すぎるという人におすすめ。いずれもラグマットなので夏が終わったらロールにして収納できるのが強みです。
涼しさを演出するカラーコーディネイト
お部屋の通風や肌触りなどで涼しく過ごしやすくする工夫は、いわば物理的に効果が期待できるものですが、意外に無視できないのが、視覚的な演出効果です。いくら涼しく改良したお部屋でも、赤系の暖色でまとめられた空間では、心理的に暑苦しさを感じさせるからです。そこで、カーテンや敷物、壁紙やポスターなど、面積が広く心理的に影響の大きい家具類の色調を見直して、青や緑などの涼しげな寒色系でまとめてみましょう。竹やイグサなどの自然素材のラグマットでも、藍色の商品もありますから検討したいですね。また、窓に風鈴を下げて「音」で涼をとるのも、昔からの日本の伝統的な知恵です。
とても大きい心理的な影響
リビングは、家族が団らんしたり、好きな時間を過ごしたりする、まさに生活の中心となる空間です。一日の中でも特に滞留時間が長い場所であるだけに、物理的な涼しさだけでなく、心理的な影響はとても大きいといえます。リビングで仕事や考え事をすることが多い場合は特に、さわやかな気分で集中できるように、多角的に空間の演出を工夫してみませんか。昔ながらの風鈴を下げる以外にも、フォトフレームで涼しげな風景写真を流したり、水音などの自然の効果音を流すのもよいでしょう。
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この記事のライター
藝術文化系のコラム、論評の執筆を多くこなしてきました。VOKKAではインテリアなど、アートに関わる記事を中心に執筆しています。