エイリアンと交信も?冥王星へ向かう探索機「ニュー・ホライズンズ」に男のロマンがある
人類にとって初めて冥王星を訪れることになる無人探査機「ニュー・ホライズンズ」。そこには宇宙の、男のロマンがあります。
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人類未踏の地、冥王星
惑星ではない冥王星
1915年にアメリカの天文学者パーシバル・ローウェルによってその存在が発表された冥王星。冥王星は岩石質で、氷とメタンで覆われていると考えられています。ちなみに冥王星は星と呼ばれていることもあり、惑星だと考えられがちですが、実は惑星ではありません。下記の惑星の要件(3)に当てはまらないため、「準惑星」とされています。2006年までは太陽系の惑星とされていました。
(1)太陽の周りを回っていること。
(2)十分重く、重力が強いため丸いこと。
(3)その軌道周辺で群をぬいて大きく、他の同じような大きさの天体が存在しないもの。
地球から非常に遠く、観測情報がないため非常に未知の多い天体です。
冥王星と衛星カロンは二重惑星
冥王星は太陽系のどの惑星よりも大きさ、質量が小さく、衛星のカロンの直径は冥王星の半分以上あります。そのため冥王星と衛星カロンで二重惑星と考えられることもあります。二重惑星とは大きさの近い2つの天体が共に同じ重心の周りを公転している場合の状態を指します。
多くの人の想いを乗せて、冥王星へと向かう
出典:wired.jp
ニューホライズンズはアメリカ航空宇宙局 (NASA) が2006年に打ち上げた、人類初の冥王星探査を行う無人探査機です。9年かけて今年2015年に冥王星に到着予定です。このニューホライズンズは様々な人々の想いを乗せて冥王星へと向かっています。
冥王星の発見者トンボーと共に
冥王星の発表はローウェルが行いましたが、この時は計算による予想にすぎず実際に冥王星を発見したわけではありませんでした。その後、冥王星を発見したのは天文学者クライド・トンボーなのです。そんな発見者であるトンボーの遺灰がニュー・ホライズンズに搭載されています。
クライド・トンボーは1906年2月5日に生まれ、1930年に冥王星を発見した。彼は1997年1月17日に亡くなるが、その遺灰の一部がニュー・ホライズンズに搭載され、宇宙空間を飛行している。またその遺灰が収められたカプセルには、こう刻まれている。
"Interned herein are remains of American Clyde W. Tombaugh, discoverer of Pluto and the solar system's 'third zone'. Adelle and Muron's boy, Patricia's husband, Annette and Alden's father, astronomer, teacher, punster, and friend: Clyde W. Tombaugh (1906-1997)".
(「この中には、冥王星と、太陽系の『第三領域』の発見者である、米国人のクライド・W・トンボーの遺灰が納められている。アドレとムロンの息子、パトリシアの夫、アネットとアルデンの父、天文学者、教師、だじゃれ好き、そして友人である、クライド・W・トンボー(1906-1997)」)
出典:www.sorae.jp
冥王星の名付け親にちなんだ観測機器
冥王星は「Pluto(プルート)」と名付けられています。実はこの呼び方、天文学者ではなく、学校で勉強する11歳のとある少女が初めてそう呼びました。彼女の名前、「ヴェネチア(Venetia)」が、冥王星探査機ニューホライズンズの観測機器につけられています。
ニューホライズンズの軌跡
ニューホライズンズはこれまでに多くの発見を人類にもたらしています。
衛星トリトンの観測
トリトンは海王星最大の衛星で地球の月の4分の3ほどの大きさです。表面温度は摂氏マイナス200度以下と考えられています。表面には2種類の地形が見られ、ところどころ噴煙を上げる火山のようなものがあります。この情報をニューホライズンズが教えてくれました。
木星観測
嵐の吹き荒れる木星、その中でも多くの天文学者の興味を惹きつけるのが赤い嵐である大赤斑、中赤斑です。後者に観測市場もっとも近くまで迫った写真をニューホライズンズが送ってくれました。何枚か撮影された画像を合わせて分析することで、今後中赤斑の周りや内部における大気の動きが研究される予定です。ほかにも木星の衛星であるエウロパ、ガニメデ、イオを撮影し、イオの撮影では同時に三火山が噴火している状態を観測しています。
冥王星調査のあとはエイリアンへのメッセージを
2020年頃、探査がすべて完了した段階で、NASAは最後に、ニューホライズンズへ向けてメッセージを送ります。それは人類からエイリアンたちへ向けたメッセージなんです。ニューホライズンズはこのメッセージを、太陽圏の外へと届けます。ロマンですね。
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この記事のライター
新しい物好きなうざかわ系アラサー男子。男子校で男に囲まれてきた反動から、大学以降は女性にモテることのみを考えてます。でも基本シャイなんでうまくアプローチできません。外資系メーカー→MBA→国内インフラ企業と経験。英語も話せる真面目な人間。