人のありのままの姿をいとおしむ監督クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッド監督の作品は、人間のありのままを描きいた作品が多く、見終わった後には深く考えさせられます。
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人間のありのままを描き出す
俳優としても数々の名作に出演し、ゴールデングローブ賞など様々な賞を受賞しているクリント・イーストウッドはまた監督としての才能も非常に高く、監督としてアカデミー賞やゴールデングローブ賞などを何度も受賞しています。
彼の作品は、人間のありのままを描いた作品が多いのが特徴です。
パーフェクト・ワールド(1993)
興行的にはそれほど成功した作品ではありませんが、凶悪な犯罪者で脱獄者で「悪」であるはずのブッチと彼に連れられた被害者であるはずのフィリップの間に芽生える心と心の交流を優しく丁寧に描いた良質な作品です。この世に決してないとわかっていながらパーフェクト・ワールドを目指すストーリーはあまりに悲しい結末を迎えますが、クリント・イーストウッドならではの善悪の境がはっきりしない世界の中で、彼が目指した”完璧な世界”とは何かを深く考えさせられます。
スペース・カウボーイ(2000年)
宇宙を目指すワル老人4人組の奮闘を描いた作品。「老い」を笑い話にしながらも「若いものには負けない」と熟練の技術、知識、人間性の豊かさで困難を解決するストーリーです。この映画の魅力は、最後のシーンに集約されています。自らの意思で月に眠るホーク、そして地球からその月を見上げるフランク、表現はまさに圧巻です。
ミリオンダラー・ベイビー(2004)
多数の映画賞を受賞したものの、まさに救いのない映画です。孤独な女性と老トレーナーの間に芽生える信頼と親愛、そして絶望から立ち上がろうと必死に戦う女性がようやく成功を収めつつあったときに襲った悲劇、そしてさらに衝撃的な結末に、もう少し違うエンディングはなかったものかと感じた方も多いのではないでしょうか。この世界にあるのは悲しみばかりだと思ってしまうようなつらいストーリーに、監督は何を伝えたかったのだろうとクリント・イーストウッド作品の奥の深さを痛感させられる作品です。
善悪で描くわけではない
クリント・イーストウッド監督の作品は、単純な勧善懲悪のストーリーはほとんどありませんが、複雑な内面を持つ人物が多く登場します。
薄っぺらい人間を描くのではなく、善悪を併せ持つ人間の弱さや醜さ、そして美しさ、気高さなど人が持つありとあらゆる面を描いており、ありのままの人間を見つめる監督のまなざしが伝わる作品ばかりです。
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