150年も世界中で愛されてきた「ジョンロブ」が2015年、進化します!
エレガントで高級感の溢れるジョンロブのシューズ。彼らの靴が長い間愛され続けてきたのには時代の波に合わせてスタイルを変えてきたからです。
今回はジョンロブはその歴史に大きな変革を起こしました。女性デザイナーの採用です。
これからのジョンロブはどのような道を歩んでいくのでしょうか。
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19世紀から受け継がれた伝統
ジョンロブはロンドンでは1866年から、パリでは1902年から、新仕様の靴を作り続けて当時から人々に愛されてきました。彼らの時代を超えて伝えられている職人技や質の高いサービス・追求されたデザインなど唯一無二の存在として現在においても世界中で人々を魅了しています。
ジョンロブが靴を作り始めて約150年。ものづくりへの真摯な態度を変わることなく持ち続けてきた彼らは自身の作り出すアイテムひとつひとつに愛情と誇りを持っています。
ジョン・ロブ氏は1829年イングランド南西部のコーンウォールに生まれ、若い頃に靴職人見習いとしてロンドンで修行しました。ゴールドラッシュに沸くオーストラリアで鉱夫用の靴作りに成功した後、ジョン・ロブ氏はロンドンへ戻り1866年にリージェントストリートに第1号店をオープンしました。
店舗開店後すぐに、ジョン・ロブ氏は当時のブーツ職人として一流の地位を築き、上流階級、政治家、財界エリートに向けたビスポークシューズ(オーダーメイド)の受注を開始しました。ロンドンでの成功を受けて、1902年にはパリに第1号店をオープンし、さらに幅広く世界中のお客様を魅了しました。その後、WILLIAMやLOPEZなど現在も受け継がれる数々のモデルを世に出し、第一次大戦を経て繁栄を続けました。
1976年、ジョンロブはエルメスグループの傘下となります。
しかし、ジョンロブがエルメス傘下に入ってから間もなく、ジョンロブがわずかな特権階級のユーザー向けにビスポークしか扱っていないことに気づいた後、対象を広げるべく1982年に初の既製靴コレクションを発表しました。1990年にはパリに既製靴を取り扱う初めての店舗をオープンするに至っています。
1994年、ジョンロブはノーザンプトンにファクトリーを開設し、その後、ロンドンのジャーミンストリートにブティックをオープン、ここ10年でアメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアの主要都市にブティックを展開し、世界中に広まっています。
こだわりの一足を提供
ジョンロブは、150年以上にわたってビスポークの靴を作り続けています。
ビスポークとは、ユーザーの希望するデザインシューズをそれぞれの足に完璧にフィットするサイズで製作することです。
この芸術的ともプロセスは、パリのモガドー通り32番地で、行われています。1足の靴を作るのに190以上もの工程があり、高い技術を持った職人たちでも、約50時間かかりといいます。
メジャーメントと呼ばれる足の採寸は、パリのマスターラストメーカーによりトレーニングを受けた、ジョンロブのマスターシューフィッターが店舗で行います。
その後、モデル、デザイン、革素材、ヒールの高さ、ソールや特別な仕様など細かいパーツについても全て個人が選択をして世界にひとつだけの一足が誕生するのです。
最初の工程である革の選別と品質チェックから、完成品が出来上がるまで、細部にまで細心の注意が払われます。
1足の靴になるまでのフルグレインレザーの長い旅は、手作業でさまざまなパーツに裁断されるクリッキングルームから始まります。
高い技術が要求されるハンドソーンやつま先のパンチングを施すプレップルームを経て、アッパーの全てのパーツが1つになるクロージングルームへと進みます。
完成したアッパーは、その後、ラストの上で靴が形作られるラスティングルームへ運ばれます。
その次のメイキングルームでは、ノーザンプトン製である証、グッドイヤーウェルト製法による強い耐久性がほどこされます。
そしてようやく、フィニッシングルームへ到着した靴には、職人たちが細部の作業を行い、仕上げのシュールームへとたどり着きます。
この完璧で最高の一足を作り出すまでの旅は、数週間という丹精込めた長い時間を要する旅です。
そして長い旅の到着地点こそが、技術を集結し、美しく洗練された最高の英国紳士靴、ジョンロブなのです。
アウトドアブランドとコラボ
ジョンロブは、レインウェアのスペシャリストとして世界的に知られるSWIMS社と、ジョンロブの靴のための、高品質でモダンなオーバーシューズを共同開発しました。
ジョンロブのイメージカラーであった黄色を全面的に使ったポップなデザインになっています。
今、大きな進化ととげようとしています
出典:openers.jp
今回ジョンロブは新アーティスティックデザイナーに女性を起用しました。
これはもちろん、ジョンロブの長い歴史の中での初めてのことです。
5月12日という夏が始まり始めた頃に生まれたパウラ・ジェルバーゼ。彼女は、サヴィル・ロウのテーラーでキャリアを積んだ後、2010年に、ピュアで抑制された物質主義をコンセプトにしたブランド「1205」をスタートしました。
彼女はカット、素材、プロポーションを何よりも重視します。そして、まるで喧噪のなかの静寂を見つけるように、アイテムの本質的要素を探求することによって余計なものをそぎ落とし、伝統的なクラフツマンシップを際立たせるのです。
彼女がデザインしてきた服をひとことで言えば“モダン・テーラリング”、本人もそう表現しています。
サヴィル・ロウでの職人修行と、イタリア人の父親・ドイツ人の母親・そして自身はブラジルで生まれた後にアメリカとスイスで教育を受けたというコスモポリタンな自身の背景と豊かな知性。さらに自身のデザインにおごることのない謙虚さと洗練。それらが相俟ってシンプルながらも“上品な”印象が服に結実しています。
決してゴージャスなわけではないけれど、かといって単調ではなく、冷たくもない。若い感性を持った大人の男性や女性にこそ似合う、とてもセンスの良い服は彼女にしか作れません。
彼女にとってのデザインプロセスは、素材から考えることから始まります。
工房や工場と一緒に、「素材が何になるべきか、何をつくるべきか」を深く読み取っていくという点においては、服も靴も同じなのです。真摯に訴えかけることで、やがて素材が語りかけてくるのです。
彼女が考えるこのブランドにおける自身の役割は、ジョンロブを守る人=プロテクターになるということ。私たちはクリエイティブとは変化させること、だと思ってしまいがちですが、彼女はジョンロブの核心に潜んだ価値に光を当てていくことで、伝統を受け継ぎながらもよりハイクオリティで革新的なデザインを提供しようと考えています。
今まで見たことのないジョンロブ
出典:openers.jp
ジョン・ロブはどんな気持ちで朝日を見ていたのか。どんな旅路を歩いたのか ・・・
先日開かれたジョンロブの2015-16秋冬のコレクションでは、会場に入るまでの廊下には砂やコケが敷き詰められ、会場内のスタンドにもコケや草、砂などがディスプレイされていました。
大きなスクリーンには、パウラが実際にコーンウォールからロンドンに旅をした際に撮影したイメージ映像が映し出され、今までのシックゴージャスな雰囲気とは異なるものになっていました。
初のコレクションとなったパウラがこだわったのは「創業者のジョン・ロブは、誰で、どこから来て、なにをしたのか」ということです。
彼女が大切にしたい伝統や革新の部分を、1851年にジョン・ロブという名の22歳の若者が成し得たロンドンへの特別な旅=アドベンチャーを追うことで再現しようとしました。
出典:openers.jp
また、彼女は今までの紳士靴とは違う、スニーカー「LEVAH(レバー)」を考案しました。
スーツだけでなくデニムとも合わせられるカジュアルなシューズを作って欲しいという多くのユーザーの声がこちらのコレクションの生まれる元になりました。
おしゃれは足元から
出典:openers.jp
こちらが「COMBE(コーム)」です。
一枚の皮から作られるジョンロブのワンスキンシュー。
おすすめはやはり、ジョンロブで初めてデザインされたモデルである「COMBE(コーム)」です。
そのほかにもトレンドを取り入れたイヤーモデルの「FOWEY(フォウェイ)」などのチェックも欠かせません。
出典:openers.jp
洗練に洗練を重ねたこちらのモデルがFOWEY(フォウェイ)です。
出典:openers.jp
本当におしゃれかどうかは靴を見ればわかるとよく言いますよね。
高い職人技とこれによって生み出された靴としての美しさを兼ね備えたジョンロブの靴たち。
「あ、あの人いい靴履いてるな」とさりげなく周りに思わせられれば、本物のおしゃれメンズの完成は目の前かもしれません。
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この記事のライター
東京生まれ大阪育ちの慶応義塾在学の女子大生です。グルメ、ファッション、あとは旅行が大好き。でも実は、それと同じくらい手の綺麗な人が好き!