純愛力のススメ。葉室麟の時代小説3選
純愛力は時代小説から学べます。
特に中年男性の描くストーリーからは、究極のロマンが感じられるのです。
現実的にはなかなか上手くいかない恋愛ですが、一生に一人だけ。『幼じみとの純愛』なんて最高の理想です。とても憧れます。
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柚子の花咲く
一人の武士の死骸の発見。それはかつての師でありました。教え子の恭平は真相を追い求め、友、初恋、師弟愛など・・青春へと想いを馳せていくのです。
村塾の先生と教え子がテーマとなっているので、『教育』がテーマでもあります。
美しい師弟愛を通して教育の大切さを学ぶことができます。
ただ美しいだけでは、ありません。先生は必ずしも模範的に生き続けたわけではなく、
心の葛藤に迷うこともありました。ですが、読み進め、理由を知るほどに不器用なほどのまっすぐさに心を打たれます。
そして、純粋モテポイントです。
主人公である教え子の方もまた、不器用ですがまっすぐな性格。それゆえ純粋な女性に慕われ続けることになるのです。
『不器用なほどのまっすぐさ』相当なモテポイントです。
この小説には名言がいっぱい。まっすぐな生き方を学ぶことができます。
まっすぐな生き方は、女が読むならベタ惚れ、男が読むなら男に惚れるでしょう。
心に大きな感動と余韻を残してくれます。そして、題名がとっても詩的で素敵。
蜩の記
班で不始末を犯した庄三郎は処罰と引き換えに、
自宅に幽閉され、後の切腹を命じられている秋谷の元へ監視役として遣わされ、体の良い島流しのような状態になります。
この秋谷は藩主の側室との密通の疑惑により切腹を命じられていますが、真相がわかるにつれ、
この上なく秋谷が魅力的な人間であるということがわかってきます。そして庄三郎は秋谷の疑惑をはらそうと尽力します。
少々ネタバレします。
この側室というのは、元々秋谷の青年期から淡い恋心を抱きあっている相手でした。切腹や汚名を恐れることなく、その女性を命に代えても守り通すというまっすぐな姿に惚れ惚れします。この女性は尼になっているのですが、尼さんって、とっても神秘的で色っぽいです。
秋谷には妻がいますが、決して側室との関係は汚らわしいものではなく、
妻のことを生涯愛し大切にします。妻も、その点について夫を信じて、理解している出来た女性です。
そして純粋モテポイントです。『欲がない』ことです。
まっすぐに人を愛し、命など惜しくない。死ぬのが怖いという人間らしさもあるのに、全く未練がましい感じがありません。
この作品は、家族の姿が描かれているので、『家族愛』も見所です。愛といっても男女の愛だけが人間の愛ではないですものね。
散り椿
上役の不正を訴えた新兵衛は、藩を追われました。帰藩した新兵衛は藩の秘密を知ることとなります。
新兵衛と共に藩を逃れ、その先で亡くなった妻が、死ぬ間際に生家の椿の花が見たいと言ったことが理由で帰藩します。とてもロマンチックですね。
新兵衛の妻への愛と、妻が親友のことを本当は愛していたのではないかという疑念との間で揺らぐ気持ちと真相が見所です。
青年期の家の垣根越しの恋愛なんてとっても憧れます。
現代マンガでいう、ベランダ越しの幼馴染との初恋です。
最大のモテポイントは、『気ままな少年のような笑顔』です。
出来の良い親友も新兵衛の妻を愛し、独身を貫いています。そこはそこでキュンとくるのですが、
女性って完璧な人より、少年のような人が好きなのでしょう。親友は何事も完璧なのですが、
妻も、その妹に至るまで、惹かれる相手は人間的な新兵衛なのです。
完璧主義はやめて、どこか隙を作ってみるのもモテ男テクニックなのでしょう。
モテる男の心意気 『まっすぐな気持ち』
葉室麟の小説はとにかく心に響くのです。出先で読むと本が閉じれなくなって困ります。
読み終わった後には気持ちのよい余韻が残るので、心のデトックスにお勧めします。
本棚に常に置いておき、何度でも手に取りたい感動作です。
時代小説だからといって、古臭くなく、読みやすい作品で、純愛マンガ大好きな方にもお勧めします。
葉室麟の小説の魅力はまっすぐな心にあります。師弟愛、友情、幼馴染との純愛・・など、
ストーリー、展開、登場人物などの構成はわりと似た系統の作品が多いです。
その点気にいるとハマって読破してしまうでしょう。
ロマンティックに詩や和歌、花、印象的なセリフを用いているので非常に印象に残りやすい作品です。
名言がいくつもあり、人生の教訓になります。
まっすぐな生き方は生きる道標となります。
そして、女性目線から見て、登場人物の男性は超魅力的です。モテる生き方のお手本としてみてください。登場人物の女性もまた、一途で純粋だけれども、強い信念を持った女性です。
人生の伴侶探しのお手本にしてみてはいかがでしょうか。
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この記事のライター
アロマとハーブ、漢方の資格を持つ。資格の知識を活かした体重管理と美容はストイック。アガサ・クリスティーを筆頭に、和洋ラノベ問わず面白いミステリーを探求中。