非難される仕事に取り組む男を描く『サンキュー・スモーキング』

非難される仕事に取り組む男を描く『サンキュー・スモーキング』

禁煙ブーム渦巻く中で、その口先ひとつで禁煙支持者に立ち向かいタバコをPRするニック。ニックは全米で一番憎まれていると言っていいタバコ産業のスポークスマンです。そんな非難される仕事に取り組む男を描いた映画『サンキュー・スモーキング』をご紹介します。

vokkaVOKKA 編集部
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誰にも負けない論理的な会話力

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禁煙ブーム渦巻く中で、その口先ひとつで禁煙支持者に立ち向かいタバコをPRするロビイスト・ニックの物語です。
主人公ニックは全米で一番憎まれていると言っていいタバコ産業のスポークスマンです。そのためどこへいっても叩かれます。
しかし、彼は言います。「もし害があるというのなら飛行機はどうです?あれが墜落したら飛行機が悪いというのですか。」

話術でどうにでも操れる

この映画の論点はタバコとあまり関係なく、「すべての問題は情報操作でいかようにも見えてしまう」ということです。つまりどのようにして“黒を白と思わせるか”かがテーマとされています。
そしてある意味ではとてもシリアスな問題をこの映画はでとても軽妙なタッチで語っており、説教臭くなく自然に見えるので、のめり込んで見てしまうでしょう。

父として息子に教えること

また、ニックと息子とのエピソードにもぐっと心をつかまれます。
ニックは失敗して世間から袋叩きにされますが、息子だけは「父さんの仕事はこういう時にこそ真価を発揮するんじゃないの?」と父を奮起させます。彼は父のことをとても尊敬しています。父親が息子に語っていることは普通の大人のつまらない話ではなく、とても刺激的で、それでいて人生にとても大切なことを教えているからでしょう。

人間と仕事のシビアな一面

彼は決して善人というわけではないし、彼の仕事は自分でも認めている通り、金のため、またそこに自分の才能を見出したからという理由でやっているだけで、社会的意義を見出すためや、弱い立場の人間を助けようとは思っていません。

しかし、見終わっても彼が嫌いにはなれないのは、それがまるで鏡に写った自分を見ているような親近感を覚えるからではないでしょうか。正しくないことをやっていても、正しいことだけでは生きてはいけない世の中を描いているようです。仕事という世の中のシビアな一面のリアルをしかと見せてくれる映画です。

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