大人だからこそ楽しめる隠れた傑作アニメ映画おすすめ10選

秒速5センチメートル

とっても切ない恋愛物語。惹かれ合う少年少女の距離の移ろいを、「桜花抄」、「コスモナウト」、「秒速5センチメートル」の3本の連作アニメーションで描きます。

その映像美では他の追随を許さない、新海誠監督の作品です。「ほしの声」、「雲の向こう、約束の場所」など距離の遠い2人の恋愛を描かせるのが非常に上手い。そしてその映像の美しさ。まるで永遠に色褪せない、胸に秘めたあの頃の思い出のように、とても色鮮やかに景色が流れます。なぜこうも感情移入してしまうのでしょうか。全てが上手くいかないことを受け入れることができるのはあなたが大人だからです。

攻殻機動隊( GHOST IN THE SHELL)

「攻殻機動隊」は、近未来の情報化社会を舞台に複雑化する犯罪に立ち向かう公安9課の活躍を描いたSFアニメシリーズです。原作は士郎正宗による漫画。劇場版は現在下記の作品が公開されています。（ストーリーの時系列順）
①「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 2.0」(1995年に公開された作品のリメイク)
②「イノセンス」
③「攻殻機動隊ARISE」シリーズ（各60分、4部作）

そして今年2015年に「攻殻機動隊　新劇場版」が公開予定となっています。その魅力はなんといっても近未来の電脳世界（自身の脳から直接インターネットの世界に接続できる世界）という舞台が詳細に説明され、大人の知識欲を刺激してくる点にあります。あの全世界で大ヒットして「マトリックス」もこの作品から影響を受けたというのは有名な話です。

『人狼　JIN-ROH』

敗戦によりスラム街となった日本の首都。そこでは武装する反政府勢力と首都圏治安警察機構との武力衝突が続いています。強化服で武装する「ケルベロス」と名付けられた精鋭集団に所属する主人公は反政府勢力を排除してく日々の中で、ある1人の女性と出会います。

押井守作品らしい陰鬱な映像美を堪能できる作品です。寡黙な主人公が時折見せる人間らしさ、そして葛藤を通した最後の選択。大人だからこそわかる主人公の苦しみに、胸が締め付けられます。

東京ゴッドファーザーズ

自称元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンでオカマのハナちゃん、そして家出少女のミユキは、大都会の片隅で生きるホームレス。ある夜３人は、ゴミ捨て場で泣いている赤ん坊を見つけ、親を探すことに。

「PERFECT BLUE」、「千年女優」、「パプリカ」と数々の名作を生んだ今敏監督の作品。監督ならではのリアルな人間描写、細かい背景描写が楽しめる作品。トントン拍子に進むため見ていて飽きることはなく、また登場する伏線がしっかりと回収されているところには脱帽です。大都会で起こる小さな奇跡にほっこりしてください。とにかく素晴らしい作品です。

鉄コン筋クリート

義理と人情の街、宝町で、自由に生きる2人の少年クロとシロ。2人が全てを知る宝町に再開発の波が押し寄せ、ヤクザと暴力が街を覆っていきます。

松本大洋の人気漫画が原作です。原作を忠実に再現した作画に加えて、斬新な映像表現がさらに松本大洋の世界を見事にアニメーションにしています。主役の声を担当する二宮和也、蒼井優、そして主題歌であるASIAN KUNG-FU GENERATIONの「或る街の群青」など関わっている全てが良い味を出しています。

マインド・ゲーム

初恋の幼なじみ、みょんちゃんに再会した西。彼女と焼き鳥屋で食事を楽しんでいた西は、借金の取り立てにきたヤクザに殺されてしまいます。

「クレヨンしんちゃん」映画には欠かせないアニメーター湯浅政明監督が送る、映像実験的な意味合いの込められた衝撃作。圧倒的疾走感と映像美に酔いしれてください。この作品には多くの比喩的表現が含まれているので何度見ても楽しめる作品です。まさにアニメの良さが引き出されている作品です。

ルパン三世 カリオストロの城

「あなたは大切なものを盗まれました。それはあなたの心です。」

言わずもがな。宮崎駿監督の超人気作です。大人の男にこそわかるルパンのかっこ良さを楽しみましょう。若い子にもてたい。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

こちらも劇場版クレヨンしんちゃん作品の中で非常に人気を誇る作品です。しんのすけの父親であるひろしにフォーカスがあたっているため、大人に人気があります。ひろしの回想シーンは泣けます。とても幸せなことなのに、その幸せはもう戻れない過去の代償なのですね。大人でもあり子供でもある誰もが抱える喪失感には、ただただ泣けます。

パルムの樹

老いぼれた老人は心を失った妻のために木製のロボット、パルムをつくります。平穏な生活は突然崩れ、パルムは人間になるための旅を始めます。心を手に入れるための旅を。


「AKIRA」の作画監督を務めた、なかむらたかし監督の作品。出てくる登場人物はほとんど子供。まさに空想のような不思議な世界観。ほとんど語られない設定。これらの点だけを見れば一般的なファンタジー映画です。しかし、この映画には現実が詰まっています。子供たちは皆トラウマを抱え苦悩し愛を求め、人間に近づくパルムは、あらゆる感情が抑えきれず、醜く変貌していきます。

見ていて言葉を失います。本当に素晴らしい。エンディングで流れる新井昭乃の儚い歌声が作品にマッチしており、聞いていて涙が止まりませんでした。

AKIRA

舞台は第3次世界大戦後の日本、ネオ東京。金田と鉄雄のバイク集団はいつものように高速道路をバイクで疾走します。しかし目の前に突然現れた奇妙な小男をよけきれずに転倒する鉄雄。そのまま小男と鉄雄は、軍に連れ去られてしまいます。

日本のアニメを世界に知らしめた傑作アニメ。1988年公開なのですが、今見ても一切陳腐さを感じることなく見れるところがすごい。2020年の東京オリンピックを予言していたりと、先見性溢れる内容にも驚きます。