料理が主役!お腹が空きそうなおすすめ映画15選【洋画】

映画好きにも、料理好きにも、どちらにもおすすめの洋画を15本ご紹介します。
最近流行のシェフが主役のエンタメ映画から、話題のレストランや伝説の名店のドキュメンタリー映画、そして今でも色褪せない珠玉の名作映画まで、幅広くピックアップしています。

natsukoshimono下野奈津子
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アイキャッチ画像出典:youpouch.com

美味しい物好きは必見!料理が美味しそうな映画

映画の中で、人は多くの物と出会います。

新しい出来事だったり、言葉だったり、文化だったり。そんな出会いはひとつひとつ積み重なり、観た人の中で大切な宝物になるでしょう。
映画の中で出会う料理もそんな大切な出会いのひとつ。

特に外国の映画の中には、私たちの知らない料理や、憧れてやまない料理が次々と現れます。
「いつかこの国に行って食べてみよう」
そう思いを馳せてみたり、どうにか真似て作ってみたり。

今回ご紹介する映画は、どれも美味しいお料理ばかりがこれでもかと出てきます。
観ていると、「お腹がすいてたまらない!」そんな気持ちになってしまうお料理が主役の15本の映画です。

1.シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~ 【2012】

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あらすじ

ミシュラン星付きの超高級フレンチ・レストラン「カルゴ・ラガルド」を牽引してきたベテラン料理人のアレクサンドル(ジャン・レノ)。長年の栄光にも関わらず、彼はスランプに陥っていました。料理界には様々な新風が吹き、アレクサンドルも新しい何かを必要としていたのです。一方、天才的な料理の腕を持ちながらも、どんな仕事についても結果的には長続きせず、パートナーにもとうとう愛想を尽かされそうになってしまうジャッキー・ボノ(ミカエル・ユーン)。このふたりが偶然出会うことで、「カルゴ・ラガルド」は新しい展開へと突入していきます。

見所は、何と言っても名俳優二人の味のある演技

出演: ジャン・レノ, ミカエル・ユーン
監督: ダニエル・コーエン

アレクサンドル役のジャン・レノといえば、日本では「レオン」が有名でしょう。
他にも、初期の「サブウェイ」から「ニキータ」「グラン・ブルー」など多くのリュック・ベッソン監督映画に出演しています。
その後は、活動の幅をハリウッドにも広げ、「ミッション・インポッシブル」「Godzilla/ゴジラ」「RONIN」にも出演。

彼のことを知らない人はいないほどの人気俳優となったジャン・レノ。
この作品「シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~」では、引退に近い年齢に達し、スランプに陥りながらも、若い世代のアイデアを柔軟に受け入れて、自らの新たな料理に挑戦する姿を好演しています。
ちょっと強面のベテランシェフも、ジャン・レノが演じるとなんだかチャーミングで憎めないキャラクターになるのだから、彼の人気の理由も頷けます。

また、相手役のミカエル・ユーン。この映画では、天才的な舌を持つ料理人としてコメディ要素いっぱいにさわやかに演じています(パートナーとの喧嘩のやりとりもチャーミングで素敵)が、彼はかつてフランスのTV番組において、女装したり、ズボンを脱いだり、下品なギャグ炸裂のとんがったコメディアンでした。

しかし彼は日本でも多少ヒットした「変態ピエロ」に主演をし、映画界で確固とした居場所を見つけたのです。「変態ピエロ」は、それまでのコメディアンとしての彼だけではない新たな要素を開拓しました。
サスペンス・ホラーの要素もある映画で、迫真の演技を見せたことで、それからは話題作に次々と出演をしています。
そんな隠れた怪優ミカエル・ユーンにも注目です。

2.イラン式料理本 【2012】

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あらすじ

古くから多くの才能ある映画人を輩出しているイラン。そのイランのインディペンデント映画界で活躍するモハマド・シルワーニが、イランの実際の家庭の台所で料理をする女性達の姿を撮影します。100歳近いベテランの主婦、男達への愚痴を言いながら何時間もかけて料理する主婦、また、大学に通いながら双子を育てる現代的な若い女性まで。淡々と映し出す彼女たちの姿と、料理を食べるだけの男性達の姿。料理だけでなく、その国も食文化や倫理感も浮き彫りになります。

イランでも、料理を作る台所にいるのはいつも女性達

監督: モハマド・シルワーニ

映画のタイトルには「イラン式料理本」とあるので、イランの美味しい料理をたくさん見せてくれる軽快なフード・ドキュメンタリー映画を期待してしまうのですが、これはちょっと違います。
もちろん料理や、料理を作る台所は出てくるのですが、それよりもカメラが注目しているのは、料理を作る女性達です。

ラマダンという宗教上の「絶食期間」の後の食事のために、イランの女性たちは何時間もかけて下拵えをし、また何時間もかけて煮込んだりと大変手の込んだ料理を作ります。
しかもそれを食べる男性たちからは感謝の言葉どころではなく、「料理は女性は作って当たり前」という態度。「時間がかかるのは要領が悪いから」と言い出す始末。

<料理や家事は女がやって当たり前>
男尊女卑の思想が根強い国では、まだそのような感覚を持つ男性が多いのです。
これは現代の日本でも未だに同じことが言えるはず。
イランの女性たちのお台所での愚痴の中には、何かしら私たちをも目覚めさせる真理の一言があるのではないでしょうか。

美味しく食べるためには、美味しく作ってくれる存在があるのです。

3.二ツ星の料理人 【2015】

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あらすじ

かつてはパリのミシュラン二つ星のレストランで腕を振るった料理人であるアダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)。だが、彼は三年前に大きなトラブルを起こして突然人前から姿を消したのでした。しかし、ロンドンでレストランを経営する友人トニー(ダニエル・ブリュール)の前に現れたアダムは、「ここを世界一のレストランにする」と宣言をし、スタッフを集めていきます。レストランが軌道に乗ったかと思われた矢先、事件は起こります。彼の起こしたトラブルの原因はまだ解決していなかったのでした。

こんなイケメン料理人がいたら、通っちゃうでしょ

出演: ブラッドリー・クーパー, シエナ・ミラー, オマール・シー, ダニエル・ブリュール, リッカルド・スカマルチョ
監督: ジョン・ウェルズ

ブラッドリー・クーパーという現代のイケメン俳優の代表格。
「セックス・アンド・ザ・シティ」でデビューしてからというもの、TV番組ドラマでも映画でも、出演作は順調に好成績を収めています。最近ではレディ・ガガとの「アリー/スタア誕生」を監督主演を務めるなど、全世界が彼の今後の動向に注目しています。

上品で知性を感じるブラッドリー。アクターズ・スタジオ仕込みの演技の才能でどんな役でも演じきってしまいます。
そんな彼が(ちょっと陰のある)ミシュラン星付きの料理人を演じるのです。
もうそんなレストランが近くにあったら、毎日通ってしまいますよね。
料理好きの女性にも、ブラッドリーファンの女性にも、確実に二度美味しい映画ではないでしょうか。

この映画のレストランはミシュランの星を得ているという設定ですから、出てくる料理はどれも本格的なフレンチばかりです。
シェフが食材を丁寧に調理し、ソース係はフレンチの決め手であるソースを配し、まるで美術品のような料理の数々が登場します。

三つ星を獲得するために人生を賭けた、ひとりの料理人の生き様を見せてくれる「ハリウッド・テイスト」の軽快なドラマです。

4.シェフ 三ツ星フードトラック始めました 【2015】

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あらすじ

カール・キャスパー(ジョン・ファブロー)はアメリカの一流レストランでシェフを務めていました。しかし一流店の評判を維持するプレッシャーもあり、オーナーと対立。突然店をやめることになってしまいます。そんな時に元妻イネス(ソフィア・ベルガラ)の案により、息子のパーシーをマイアミを訪れることに。そこでカールはフード・トラックでの移動販売をすることを思いつきます。アメリカソウルフードを堪能できる家族愛に満ちたヒューマン・ドラマです。

監督ジョン・ファブローが描きたかったアメリカの姿

出演: ジョン・ファヴロー, ソフィア・ベルガラ, ジョン・レグイザモ, スカーレット・ヨハンソン
監督: ジョン・ファヴロー

大ヒット映画「アイアンマン」「アイアンマン2」の監督であったジョン・ファブローが製作・監督・脚本・主演という4役を担ったのがこの作品。食の本場といえばフランスで、グルメに関する映画もヨーロッパのほうが多くあるように思えます。しかしこの「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」では、移民の多いアメリカならではの食文化を見直させてくれます。ジョン・ファブローはインタビューで日本映画「たんぽぽ」にインスピレーションを受けたとも語っています。それだけに、食だけでなく、ひとりの人間の人生にもスポットライトを当てた作品になっています。

5.大統領の料理人 【2013】

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あらすじ

フランスのミッテラン大統領の元で、女性で初めて大統領のお抱え料理人に抜擢された人物を映画化した真実に基づく物語。片田舎でレストランを営むオルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)は突然の大抜擢により、エリゼ宮での料理人の仕事を始めることになります。女性ということもあり、他の料理人達の嫉妬による厳しい扱いとも闘うことに。しかし確かな彼女の料理の腕と、女性らしい魅力に満ちた彼女のアイデアはミッテラン大統領の信頼を得ていきます。

真似したいアイデアいっぱいの本格的な料理の数々

出演: カトリーヌ・フロ, ジャン・ドルメッソン, イボリット・ジラルド
監督: クリスチャン・ヴァンサン

さすがはガストロノミーの国フランス。ミッテラン大統領の料理番と言えば、それはもう本格的な料理の数々が並びます。この映画では、料理に関する監修・調理をフランス随一のミシュラン2つ星シェフが担当しました。見た目だけでなく、調理の工程なども忠実に再現されています。特に印象的なのはチーズを手作りする部分。ミシュラン・レストランのチーズ作り、ちょっと自分でも真似してみたくなります。

6.ジュリー&ジュリア 【2009】

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あらすじ

1949年にパリの名門料理学校であるコルドン・ブルーで修行したジュリア(メリル・ストリープ)は家庭でも作れる524のレシピ本を出版しベストセラーになりました。それから半世紀、小説家を目指すジュリー(エイミー・アダムス)は、ジュリアの524の料理本を365日毎日作ってブログに掲載するという目標をたてます。自らの夢に挫折した女性と、伝説の料理人、二人の女性を描くのは「めぐり逢えたら」のノーラ・エフロン監督です。

現代の女性像を映し出したノーラ・エフロン監督のまなざし

出演: メリル・ストリープ, エイミー・アダムス, スタンリー・トゥッチ, クリス・メッシーナ
監督: ノーラ・エフロン

昨今のブームの現場と言えばインスタグラムやフェイスブックなどのSNSの世界です。料理の世界でも同様。多くの女性がインターネット上で料理での自己表現を行っています。ノーラ・エフロン監督は女性の生き方をとても魅力的に描く映画監督。50年の時を経たふたりの女性像を、料理というひとつのファクターを通して映し出して見せます。大女優メリル・ストリープの年を経てもなお生き生きとした可愛らしい表情も注目です。

7.赤い薔薇ソースの伝説 【1992】

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あらすじ

メキシコの伝統を重んじる家庭に生まれたティタ(ルミ・カバソス)ハ、ペドロ(マルコ・レオナルディ)という青年と恋に落ちます。しかし家のしきたりにより引き裂かれてしまう二人。愛するペドロと結婚することになったのはティタの姉でした。それでもペドロを愛し続けるティタは料理によってその愛を表現するようになります。彼女の愛の薔薇ソースは。情熱をかき立てる媚薬として人々を翻弄していきます。

今でも語り継がれる伝説の愛の料理映画

出演: ルミ・カバソス, マルコ・レオナルディ, レヒーナ・トルネ
監督: アルフォンソ・アラウ

この映画は90年代のメキシコ映画ですが、今でも料理映画と言えばこの作品を思い浮かべる人も多い伝説の作品です。物語は、主人公の秘められた愛によってその料理を食べた人たちが翻弄されていくというラブストーリーなのですが、メキシコを含めた南米文化の特徴でもあるファンタジックな演出により、唯一無二の存在感を放っています。恋人のためのバレンタイン・ディナーなどに薔薇ソースを作ってみては如何でしょうか。

8.料理長殿、ご用心 【1978】

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あらすじ

ヨーロッパ各地の一流シェフたちが次々と謎の死を遂げていきます。しかも彼らの得意料理の調理法に習った殺害方法でという前代未聞の連続殺人事件。一体犯人は何が目的なのでしょうか?ロンドン、ヴェネツィア、パリ、中年男ロビー(ジョージ・シーガル)と元妻のナターシャ(ジャクリーン・ビセット)がこの事件の謎に立ち向かいます。

伝説の料理人ポール・ボキューズが監修した本格的な料理に注目

出演: ジョージ・シーガル, ジャクリーン・ビセット, ロバート・モーリー, ジャン・ピエール・カッセル, フィリップ・ノワレ
監督: テッド・コッチェフ

夫婦の二人三脚でミステリー小説を共作するナン&アイヴァン・ライアンズが1976年に発表した同名小説を映画化したのがこの作品。なんと “ヌーヴェル・キュイシーヌ”の旗手として今でも名高いポール・ボキューズが映画に出てくる料理の監修を担当しました。実際のヨーロッパ各地のレストランでのロケ撮影など、料理の歴史を学ぶ上でも外せない作品のひとつです。

9.リストランテの夜 【1996】

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あらすじ

天性の才能を持つシェフである兄のプリモと、その兄を料理長としたレストランの経営に苦心する弟のセコンド。イタリアからの移民としてアメリカに渡って以来、彼らは長年パートナーとして悪戦苦闘の日々
を送っています。しかしなかなかレストランは軌道に乗らず。苦肉の策として、レストランに著名な歌手を招いての盛大なパーティーを仕掛けることにします。兄弟の夢を賭けた最後の勝負はどうなるのでしょうか。

イタリアからの移民のレストランを舞台にしたヒューマン・ドラマ

出演: スタンレー・トゥッチ, トニー・シャルーブ
監督: スタンレー・トゥッチ, キャンベル・スコット

アメリカには多くの移民が移り住みました。中でもニューヨークという大都市での成功を夢見て船で渡ってきた多くの人々。ニューヨークのマンハッタンにはそんな移民達が開いたレストランが多くあります。イタリアン・レストランはその筆頭。マフィア映画でも舞台になるのはマンハッタンのイタリアン・レストランです。この「リストランテの夜」は、レストランを営むイタリア人移民の兄弟の生き様を描いた快い映画です。

10.ディナーラッシュ 【2000】

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あらすじ

ニューヨークのトライベッカにあるレストラン。古風な昔ながらの店を長らく守ってきた先代のオーナーから、息子の世代に変わって店は大きな変革を迎えることになります。そんな中、野心と陰謀に渦巻く人間模様に巻き込まれたレストランである殺人事件が起こります。ある一晩のレストランの厨房を舞台に巻き起こるサスペンス・コメディ。

料理の出来る俳優と言えばこの人、ダニー・アイエロ登場

出演: ダニー・アイエロ, エドアルド・バレリーニ, カーク・アセヴェド
監督: ボブ・ジラルディ

多くのマフィア映画において、味のある脇役を務めてきたダニー・アイエロが父親役として出演している作品です。彼のマフィア映画でもそうですが、イタリア料理店の主人という役どころと言えば、このこの人。何故なのだろうと思っていましたが、あるとき彼の連続ドラマ(刑事物)を観ていると、「俺の独自のパスタの作り方」と言って料理の腕前を披露していました。きっとプライベートでも料理をする人なのでしょう。この映画でも、ダニー・アイエロ節は全快。彼のファンではなくとも楽しめる作品になっています。

11.ノーマ、世界を変える料理 【2015】

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あらすじ

世界一のレストラン「ノーマ」を率いるカリスマ・シェフのレネ・レゼピ。「世界ベストレストラン50」の第一位に四度も輝いたという彼の栄光の道は、独自の料理哲学に裏打ちされているものです。料理界の革命児として、それまでの美食界を大きく変革することになったレネ・レゼピの姿に迫ったドキュメンタリー映画。斬新な演出による美しい北欧料理の数々に注目です。さらに躍進を続ける「ノーマ」と、今では自身の店を開業した「ノーマ」元スタッフの顔ぶれも登場します。

伝説の革命児レネ・レゼピ、彼の登場によって料理界は変わった

出演: レネ・レゼピ
監督: ピエール・デュシャン

美食家ならば知らない者はいないであろう「ノーマ」。ミシュランと並んで美食界に数々の話題を振りまいている「世界のベストレストラン50」で、「ノーマ」は4度も第一位に輝きました。斬新な演出による北欧料理はそれまでの「北欧料理」のイメージを一新させ、美食家たちの注目を一身に集めました。そのノーマにおいてレネ・レゼピは「この土地の土着の食物しか使わない」などの独自の哲学を貫きます。食物の発酵の過程など、彼の探求はどこまでも続きます。彼のインスピレーションはどこから来るのか。「ノーマ」の舞台裏が描かれた美しいドキュメンタリー映画です。

12.スティーヴとロブのグルメトリップ 【2010】

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あらすじ

コメディアンのスティーブはイギリス各地の一流レストランのグルメ取材の旅をすることになりました。相棒として誘ったのは、同じくコメディアンのロブ。中年男ふたりによる珍道中の始まりです。毒のある軽妙なトークや物真似ネタを交えながら、グルメ旅は一体どうなるのでしょうか。マイケル・ナイマンの音楽と、風景描写の素晴らしいマイケル・ウインターボトム監督という豪華なスタッフによるBBCのTVシリーズを元にしています。

イギリスのコメディアン二人によるBBCのグルメ・ロードムーヴィー

出演: スティーヴ・クーガン, ロブ・ブライドン, マルゴ・スティリー
監督: マイケル・ウィンターボトム

スティーブを演じたスティーヴ・クーガンも、ロブを演じたロブ・ブライドンも、共に本国イギリスでは人気のあるコメディアン。そんな二人が大人のジョークを交えながら、様々なレストランを訪れます。監督のマイケル・ウインターボトムはこれまでに「ひかりのまち」「いとしきエブリデイ」「ゴー・ナウ」など、深遠な心理描写が光る人間ドラマを多く作り出してきました。そんなウインターボトム作品ですから、料理がメインの映画ではありますが、ピリリと効いた人間ドラマが隠し味となっています。

13.ソウル・フード 【1997】

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あらすじ

祖母の作るソウル・フードによって家族の繋がりを保ってきたある黒人家族。しかし突然の祖母の病気によって、家族に激震が走ります。女姉妹たちには喧嘩が絶えず、その夫たちは警察沙汰を起こしたり、女性問題を起こしたり。そんな時、祖母のビッグ・ママ(イルマ・P・ホール)は孫の(アマッドブランドン・ハモンド)にある思いを託します。

アフリカ系アメリカ人家庭のソウルフードが満載の映画

出演: ヴァネッサ・ウィリアムス, ヴィヴィカ・A・フォックス, ニア・ロング
監督: ジョージ・ティルマンJr.

家族を繋ぐのソウルフード。アフリカ系アメリカ人のソウルフードといえば、フィッシュ&チップスなどもありますが、歴史上の長い奴隷生活の中で白人が食べることなく捨てる部位だった豚の足、耳、内臓、牛タン、牛の尾、鶏の手羽先などを材料とした「南部料理」と呼ばれるものも黒人のソウルフードにあたります。過酷な労働を強いられた歴史によって作られた、まさに魂の料理=ソウルフードです。そんな南部料理が映画の中ではテーブルいっぱいに並びます。

14.エル・ブリ 【2010】

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あらすじ

世界一予約の取れないレストランとして有名な「エル・ブリ」。「エル・ブリ」は14年間ミシュランの三つ星を守り続けた伝説のレストランです。1年で半年しか開店しておらず、一日に50人のみしか入れないというお店。それでも人々は競ってこの店の予約を取ろうとしました。「エル・ブリ」の料理長のフェラン・アドリアの天才的な発想力を作り出すものは何なのか。そしてそんな彼は次にどこに向かおうとしているのか?料理界を疾走した天才料理人の姿に迫るドキュメンタリーです。

天才的料理人のインスピレーションの謎に迫る良作

出演: フェラン・アドリア(オーナーシェフ, 共同経営者), オリオール・カストロ(料理研究家, 試作担当), エドゥアルド・チャトルック(主任シェフ)
監督: ゲレオン・ヴェツェル

2011年に全世界の美食家たちに惜しまれながらも閉店した三つ星レストラン「エル・ブリ」。そんな「エル・ブリ」の開店当初のエピソードから、フェラン・アドリアの登場によるその後の栄光、また、突然の閉店についてを描いた作品です。映画の後半、カメラは天才的な料理人のオフィスに入ります。そこで観たものは、彼のインスピレーションの源泉のような資料群。彼は料理から、さらに高みへと進もうとしているのです。

15.バベットの晩餐会 【1987】

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あらすじ

19世紀後半、デンマークの厳しい気候のユトランド半島へと亡命してきた女性バベット。彼女は家政婦として、清貧な生活を送るマーチーネとフィリパの女姉妹の元で働くようになります。この姉妹は結婚の申し出を断り、父親の仕事のために自らを捧げてきましたが、その父が他界したことで、ある催しを思いつきます。父の生誕100年を記念した晩餐会に村人たちを招待するのです。そこでバベットの料理が振る舞われます。

いつまでも色褪せない名作映画「バベットの晩餐会」

出演: ステファーヌ・オードラン
監督: ガブリエル・アクセル

この映画は現代のアップテンポの作品を見慣れた向きには少しスロウすぎるかもしれませんが、しかしこういうスロウな映画にこそ人間の姿の神髄を見いだすことが出来るのではないでしょうか。何十年も経った今でもこの「バベットの晩餐会」を名作として挙げる人々が多くいることにも頷けます。ゆっくりと丁寧に何日も準備期間をかけて行われる晩餐会。その心のこもった晩餐は、慎ましい生活を送ってきた村人たちの心を開く魔法のようです。

まとめ

料理が主役の映画を15作品、ご紹介してきました。

一口に「料理の映画」と言っても、それはもう料理の種類が千差万別であるかのごとく、映画も多種多様なものがあります。
そして料理とは、ただ口にする食べ物というだけではない、その国の文化を象徴したり、ひとつの家族の絆を保ったりする、コミュニケーションの手段なのだということがわかってきます。

昨今の美食ブームで、これからも料理がテーマの名作映画はさらに皿を重ねて作られ続けるでしょう。

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この記事のライター

下野奈津子

【家庭料理研究家】ワイン輸入会社での経験を経て、食育メニュープランナー、ヘルシービューティーフードアドバイザーの資格を取得。時短なのにちょっと特別感のある食卓がテーマです。【映画】映画通、NY市立大学ブルックリン校で映画制作を学ぶ。【本】古書マニア、オンライン古書店、double plus goodを経営。

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東京出身。興味があるのは建築&インテリア。

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